最近、霊の話を聞く機会が増えました。たまたまとは思いますが、不安の時代はどうしても何かにすがりたいという思いが生じるのでしょう。インターネットの動画に投稿されたビデオ映像などには怖いものが沢山ありますが私には真偽の判断はできません。そういうものを見たことがありませんし、そういう能力は無いようです。これは幸せなことかもしれません。霊といえば怖いものと決めてかかるのは間違いです。守護霊というものの存在は温かい気持にさせてくれます。これなら私も薄々感じることがあります。勘違いかもしれませんが、感じるのです。さて、そういう私の拙い体験ですが、祖母が亡くなり、病院から遺体を自家用車の後部座席に乗せて家まで運んで来ました。寝床を整える間、車の中に祖母はそのまま寝かされていました。亡くなったのは深夜のことでしたし、通夜の準備でバタバタしていましたので、いざ遺体を運びだそうとしたら、なんと車ごと消えていましたから皆大慌てでした。はじめは何が起きたのかわからなかったのですが、次第に弟の姿が無いのに気付いて、後ろに祖母を乗せたまま何処かに出かけてしまったことがわかりました。親戚の人々は口
を揃えて、馬鹿だ馬鹿だと弟を責めました。私はその時気付いてしまいました。弟の自動車学校の学費は、祖母が出してくれたこと、でも、一度も車に乗せたことがなかったことを。この時初めてで最後のドライブをしたことを私はそこにいた人々に語りました。もう誰も弟を責める人はいませんでした。ただ無事に戻ってくることを待ち続けたのでした。その後の弟のエピソードの数々を思えば、ただの間抜けというだけのことだったかもしれませんが。